Do it Yourself!
How to Produce "Tenya Tackle"
◆テンヤ道具製作ガイド
材料さえそろえば、製作そのものは実に簡単です。その中で要となるテンヤ作りは、できるだけ詳細にご紹介したいと思います。なお、ここで紹介するタテ釣りテンヤの製作方法は、錘と鈎の大きさを変えれば、そのまま鴨居式のリールシャクリ用の豆テンヤ製作にも応用できます。

鴨居式リールシャクリに使用する場合には、テンヤ錘=2〜3号、親鈎=がまかつまたはオーナーテンヤ鈎「中」、孫鈎=がまかつ小鯛撞木12号の組み合わせで製作可能です。

印刷用仕掛図(PDF形式)はこちら!

□テンヤ作りのための材料と道具

○立て釣りマダイテンヤ(完成品)

完成したテンヤのイラストおよび写真です。テンヤオモリは状況により、10号から15号ぐらいを使い分けます。入門当初の底ダチ取りの練習には、20号程度の重いものを用意すると良いでしょう。完成したテンヤにはきちんと錘号数を記入することをおすすめします。千枚通しの先端などで号数を刻印して下さい。


○テンヤ錘

大きな号数のテンヤ錘になると、市販されている店はある程度限られますが、渋谷サンスイ船釣り館・吉祥寺丸勝本店・川崎のフィッシング中原等に置かれています。

※形状に好みが出てきた場合には自分で金型の図面を描き、加工業者に金型を作ってもらい、自分で鉛を鋳込んで作ります。

なお、金床と金槌を使って、スソを丁寧に丸めて使用します。(別項参照)

○孫ハリス・チモト用糸

上記のオモリが置かれている店でしたらヤマシタの「ピンク糸」と呼ばれる、仕掛け製作用材料として、ナイロン製クレモナ糸が置かれています。号数は9号。ただし、船頭によっては、「明るい色の糸はフグやタチウオにやられやすい」とのことで、茶褐色の漁網補修用の糸を使っています。漁網補修糸は、関東周辺なら釣り場に向かう経路上で見かける漁網店で購入できます。補修糸には種類が多数あるため、ナイロンクレモナ9本撚りを選んで購入して下さい。


○テンヤ鈎(親鈎)

入手しやすいのは、がまかつ、またはオーナーのテンヤ鈎。マダイのテンヤ釣りに使用する場合には「中〜大」サイズが良いと思います。凝ってきますと、手打ち錫引きの鈎などが欲しくなるものですが、入門時はテンヤ造りそのものがまだ安定しないことと、手打ち鈎の場合、鈎先の研ぎの作業が難しいので、初めのうちはがまかつの鈎を使用することをおすすめします。まとめ購入100本単位なら、土肥富のテンヤ鈎片下工19〜20号が良いでしょう。この鈎は錫引きで鈎が錆びにくく長持ちします。針先はきちんと研いでおくのを忘れずに!

○孫鈎

孫鈎にもやはり、がまかつ製の小鯛撞木鈎(こだいしゅもくばり)が入手もしやすく手頃です。サイズは12〜13号程度がもっともバランス良いと思いますが、好みにより大きい物、小さい物を好んで使用する人もいます。親鈎同様、土肥富からも小鯛撞木鈎が出ています。


○工具類

テンヤ作りに必要な工具一式です。

*金槌:テンヤ錘のスソを叩いて丸めたり、親鈎の固定にテンヤ錘の頭を叩いたりするのに使います。木工用の玄翁(玄翁)で構いません。

*金床:金槌同様、主に錘を叩く時に使ったり、糸を締め付ける時に鈎の角を当てたりする固定具として使います。金床は出来るだけ小型のものが良いでしょう。鉄道レールを切断した安価な物も売っています。

*千枚通し:テンヤ錘を叩いている時に、親鈎を通す穴が埋まったりしたときに、これによって穴を拡げたり、チモト糸を締め付ける時に使用したりします。

*ハサミ:クレモナ糸を切るのに使用します。

製作手順
□孫鈎の結び方

1.徳利結びで孫ハリスを結びます。右の図のとおり、クレモナ糸9号で孫ハリスを結びます。糸の長さは全長で30センチぐらいにしておきます。

2. 孫ハリスはイラストに示すとおり矢印の両方向にテンションを掛けて、しっかりと締めて結びます。結び目を濡らし、糸の一端は歯で噛んで、もう一方はしっかり指にからめてテンションを掛けます。その時に、鈎をもって結び目を支点に針先側を上下に振りながらテンションを掛けると、さらに硬く締まりますが、鈎のチモトの鋭角部分で糸が切れないよう注意して締め付けてください。なお、締め結びの結び目は鈎のフトコロの内側になるようにします。(1番のイラストのままですと逆になりますので、結び目を必ずフトコロ内側に向けてから締めるようにして下さい。)

3. 締め結びがしっかり締まったら、糸の両端を揃えて2本束ね、図のような向きで輪を作り、鈎先側からくぐらせます。なお、止め結びの場所は、締め結びより針先側にします。

4. さらに締め付けます。輪をくぐらせて作った止め結びをさらに締め付けるために、結び目を濡らしてから鈎のチモトを金床の角などにしっかりおさえて、図のように太い矢印の方向にテンションを掛けつつ、細い矢印に示すように横方向に振りながらさらに締め付けてやります。

結び目に爪を当ててみて、かっちりとしていれば合格。

5. 孫ハリスを撚ります。図のように、孫鈎のチモト側から徐々にハリスを二本撚りにして行きます。通常のクレモナ糸の撚り方向に合わせると、図のように2本の糸を反時計回りにしてやりますと、ばらけずに締まる方向になります。利き手の親指と人差し指に二本の糸を挟んで、親指を手前に滑らせると撚りが掛かります。できるだけしっかりと撚り合わせて下さい。鈎と反対側まで撚り上がったら、その端を結んでコブを作り、撚りがほどけないようにしておきます。

6. 親鈎へ孫鈎を装着します。撚ってコブを作った孫ハリスを、親鈎に縛ります。やはりこれも締め結びとします。図では結び目が下側に来ますが、締め付ける前に結び目を上側に回して置きます。

7. 孫ハリスの親鈎への結び目を拡大するとこのようになります。締め結びを縛り上げるまえに、たすき掛けとなる結び目を上側(フトコロの内側)に向けて置きます。

8. 結び目・ハリス長さ等の位置関係はこのようになります。孫ハリスの親鈎への結び目位置は、仮想線で書いたテンヤの位置を目安にします。実際に位置を決める時には、実際に使用するテンヤ錘を直接付けて確認すれば安心です。

 親鈎のチモト先端から、テンヤ穴のチモト側まではおよそ3〜4mm程度。叩いて潰れることを考慮しますと5mmぐらい出しておいても問題はありません。

孫ハリスの結び目は、テンヤ穴の鈎先側ギリギリ一杯とし、締め結びを作った段階で、孫鈎を図のように折り返して、親鈎と孫鈎のフトコロが接するよりも少し(2mmぐらい)離れるところで、締め結びを締め付けてやります。


9. 孫ハリスの止め結び方法です。上記8番の締め結びをしっかり結んだら、今度は止め結びをします。まず、孫ハリスのコブ側を折り返し、親鈎のチモト側に沿わせておきます。

続いて孫鈎先端側のハリスで、チモトに沿わせたコブ側を巻き込むようにして輪を作り、その輪の下側から鈎を抜きます。

一見するとコブ結びでかえって結節力が弱くなるように見えますが、この結び方によって孫鈎を引くことで、チモトに沿わせたコブ側、及び締め結びの結び目がさらに締まることになり、親鈎の上で孫ハリスの結び目が滑ることはありません


□テンヤ錘の叩き方
テンヤ錘は下図のように金床上で金槌を使いながら徐々に叩いて底部を丸く仕上げて行きます。重要な点としては、底面に穴を残さないこと。また、周囲から底面中央に徐々に叩いて寄せる感じで、テンヤ錘を徐々に回しながら均等に仕上げるようにして下さい。
※テンヤ錘底部の丸みについては好みが分かれます。ナス錘のように丸く仕上げる人、また、場合によっては12号以下は特に叩かない等、人によって千差万別です。

□テンヤ錘への親鈎の装着
テンヤ錘に孫鈎を取り付け終わった親鈎を挿して、頂部から垂直に金槌で叩いて親鈎のチモトを固定します。時々様子を見て、前後左右にアンバランスな偏肉等ないように注意して下さい。

錘の鈎穴を千枚通しで整形

鈎穴で固定する以外の余分な糸をカット

親鈎のチモトと残した糸を鈎穴に通す

ハンマーで一気に叩いて止める

チモトに出た余分な糸をカットし端部はライターで焼き玉にして指で押さえ止める

□チモト糸の装着と仕上げ

1. チモト糸の装着

クレモナ糸を10cmほどの長さの緩い2本撚りにして、端がほどけないようにコブ結びをしておきます。 締め結びで親鈎のチモトに装着してやります。結び目のクロス部が、テンヤ錘の頂上側にくるようにします。


2. チモト糸締め付け準備

チチワ側の長さはおよそ10〜15mm程度あれば十分です。

締め結びはコブを歯で噛み、反対側のチチワに千枚通しなどを通して十分にテンションを掛けて、結び目に爪を当てて「カチッ」と締まるまで締め付けて下さい。締め終わったらコブ側を反対側手前に倒しておきます。

3. 止め結び

右図のようにコブ側とは反対にチチワをまわしつつ、締め結びより奥で、糸の止め結びをします。チチワ先端を輪にくぐらせる時は、図に示すとおり、奥から手前に抜き通して下さい。

4. 仕上げ

チチワに千枚通しの先端を通して十分にテンションを掛けながら結び目をカッチリと締め上げて下さい。コブ側は余分な糸を切り落とします。

完成したテンヤ
□中錘について

中錘は釣具店で売られている三日月錘の6号〜12号程度を状況によって使い分けるのが早道です。三日月錘を購入するときは松葉サルカンの鋳込み部分に引け(十分に鉛が金型に回りきらず、サルカンの目が露出しているもの)の無い物を選んで下さい。

また、関東では、竹岡や州の崎方面の手バネシャクリに仕様する角形断面の錘が6号〜10号程度のラインナップで揃いますのでそれを流用しても構いません。

また、自作派の人は、ナツメ錘にステンレスワイヤーφ0.8程度のものを折り返して通し、金床で叩いて自作しても良いでしょう。


□手釣り用ミチイトと糸巻き用木枠

○ミチイト
テンヤ釣りに使用可能なミチイトの種類としては現在売られているものとしてはYGKよつあみ社から出されているもので良好なものが何種類かあります。

1. よつあみとらとら
過去、自分が使い比べて最も使いやすいと感じている糸がこの糸です。テトロンモノフィラメントを複雑なマルチ編み込みにしたもので、手触りが少し柔らかいタイプの糸です。落とし込み動作の時に多少手のひらに吸い付く感じがありますが、風の強い日などはしなやかさゆえ手前祭りの防止になります。販売単位は100mで、単色と10m分染があります。10m分染タイプは、入門時には船頭の水深指示と比較できることもあって、非常に便利です。号数は8号がベストだと思いますが、大物狙いや、外道に青物が混じる季節や釣り場では10号でも良いと思います。関東では渋谷サンスイ船釣り館・吉祥寺丸勝釣具店・相模原フジモリフィッシングタックルなどで注文を受け付けてくれます。だいたい取り寄せに1週間ぐらいかかります。

2. よつあみパラゴン
テトロンモノフィラメントを編んで作られた糸です。号数は8号がベストだと思います。また、パラゴンには単色と20mごとの色分けを施した分染があります。よつあみに比較すると、かなりパリッとした手触りで、落とし込み動作が支障なくできる利点が有りますが、風の強い日など、足元で手前祭りすることが多く、手繰った糸を気遣う必要があります。

3. よつあみどうづきプラス
パラゴンと同じく、テトロンモノフィラメントの編み込み糸ですが、こちらはリールでの巻き取りを考慮したもので、プラスチックのスプールに巻かれています。銀座東作等で、単スプール小売りをしてくれますが、個人で注文する場合1ダース単位となるため、不便です。色は現在は分染タイプのみのようです。また、スプール巻きということもあって、木枠に巻き取っても、しばらくスプールへの巻き癖が残り、手前祭りの要因になる場合があります。

4. ゴーセントトマスター
この糸はまさにタテ釣りラインとも言えるミチイトです。鴨居周辺ではこの糸を使う漁師が多いです。ただし、関東周辺では常時売られている店が少なく、取り寄せの場合には12連スプール(1200m)単位となってしまういます。西日本方面では比較的ポピュラーな糸のようですので、何かのついでで西日本方面に出かけた折に、必要量を購入するのも良いでしょう。どうづきプラス同様、スプールの巻き癖には要注意です。

写真の道具に使用しているミチイトはゴーセントトマスターの8号(100mスプール12連)です。

このページのトップに戻る            最初のページに戻る